私は化学療法を点滴・内服合わせて6種類ほど受けました
一番最初に受けた化学療法『パクリタキセル+ハーセプチン』の初回入院時と副作用についてまとめておきます
どのような治療も個人差があるので、体験談については、あくまでかぁるの場合の副作用としてお読みください
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化学療法とは
化学療法とは、抗がん剤を用いてがんを治療することです
パクリタキセル+ハーセプチン
私は初回の化学療法に『パクリタキセル+ハーセプチン』を選びました
パクリタキセル
パクリタキセルはタキサン系の微小管阻害薬に分類される抗がん剤です
がん細胞は細胞分裂をすることで増殖します
パクリタキセルは細胞分裂に必要な微小管の働きを阻害することによって
細胞分裂を阻止させ、がん細胞の増殖を防ぎ死滅させます
副作用の種類と発現時期
【参考】日本化薬株式会社発行「パクリタキセル注射液による治療を受ける患者の皆さんへ」P9より
過敏症(アレルギー症状)
悪心・嘔吐
悪心・嘔吐(遅延性)
筋肉痛
関節痛
手足のしびれ
口内炎
下痢
感染症(骨髄抑制)
出血しやすい
脱毛
立ちくらみ(貧血)
パクリタキセルにはアルコールが含まれており、点滴をすると体内に吸収されます
投与当日は自動車の運転はしないでください
※ナブパクリタキセル(アブラキサン)のほうはアルコールは含まれていませんので大丈夫です
ハーセプチン
通常の乳がん細胞より増殖のスピードが速い細胞は、増殖に必要なえさを取り込むための受容体を持っています
このえさを取り込むための受容体を「HER2タンパク」といい、乳がんのサブタイプ分類でHER2タイプの場合、正常の1,000~10,000倍の量のHER2タンパクがみられます
ハーセプチンは抗HER2抗体という分子標的薬の一種で、えさを取り込むための受容体「HER2タンパク」の働きを阻害し細胞の増殖を抑える薬です
ですので、ハーセプチンは「HER2タンパク」が過剰に発現しているHER2タイプにしか使用することはできません
↓HER2タイプ(サブタイプ)の詳しい説明は↓
- 心機能の低下
- 寒気・発熱・倦怠感(初回時のみで2回目以降はほとんどない)
初回化学療法→入院
この病院では、化学療法の重篤な副作用ーアナフィラキシーショック(抗がん剤投与に伴うアレルギー)が出る可能性を考慮して、初回の投与は必ず入院をして行うとのことで、どの抗がん剤でも初回は入院しました
2013.7.30~2013.8.1
入院1日目
11:00ー病院で受付
11:15ー看護師に案内され、6階の個室に入室
杖をついていたので、車いすに乗るように促されました
拒否したのですが、看護上問題があると言われ、不承不承ながら車いす移動を受け入れました
13:00ー主治医から、化学療法と中心静脈ポート留置術、HBOCについての説明と整形外科受診について相談
↓中心静脈ポート留置術の詳しい説明は↓
かねてより言われていた整形外科については受診しない、遺伝カウンセリングも治療が落ちついてからにすると断りました
結局、現在まで遺伝カウンセリングもHBOCの遺伝子検査も受けていません
HBOCとは、ヒトの遺伝子の一部に異常が有り乳がんや卵巣がんを発症しやすい状況の事で「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」と呼ばれます。HBOCの患者さんは染色体の一部に異常をきたしていて「BRCA1」もしくは「BRCA2」という遺伝子の変異を受け継いでいることがわかっています。この遺伝子変異によって、乳がん・卵巣がんを発症しやすい状況になっていると考えられています。
出典:遺伝性乳がん・卵巣がんについて -【HBOC】その特徴と対応は? | メディカルノート (medicalnote.jp)
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入院2日目
7:00ー主治医から様子を聞かれ、本日の化学療法についてと、その後何もなければ明日退院と説明を受ける
11:30ー看護師による点滴のルート確保
12:00ー院内化学療法認定看護師によるルートチェック後、化学療法開始
14:40ーとくに問題なく、点滴終了
翌日、3日目の昼前に退院しました
パクリタキセル+ハーセプチン副作用【体験談】
間質性肺炎で入院
体調が悪いなら、なおさら診察とCT検査はするべき
本当に無理です
来週に延期してください
2013.11.2~2013.11.7
入院1日目
朝になっても熱は下がらず、呼吸の苦しさもどんどん増していったので、やっと病院へ行くことにしました
7:00ー救急外来にて受付
7:45ー診察後、レントゲン撮影施行→間質性肺炎と診断され、そのまま入院に
8:15ー酸素2Lカニューレ(英:カニューラ)開始
8:40ー抗生剤マキシピーム投与
9:45ー抗生剤マキシピーム投与終了ー副作用なし
夜になっても息苦しさは改善されませんでしたが、熱は下がりました
1時間毎に看護師の訪室があり、浅い眠りになりました
入院2日目
7:15ー鼻出血あり、呼吸も苦しいまま
11:20ー主治医の訪室、CVポートから採血、抗生剤の点滴投与
16:00ー発熱38.2℃、カロナール服用
17:00ー熱は37.1℃、呼吸苦も消失、倦怠感あり
22:00ーまた呼吸苦が苦しくなり、酸素流量をアップー3Lに変更してもらう
看護師の訪室にも慣れたためか朝まで起きずに眠れました
呼吸もだいぶ楽にはなりましたが、精神的に弱っており、かなり不安定になっていました
入院4日目
10:00ー看護師の訪室、本日延期していたCT検査を行うと告げられる
苦手なCT検査を促され、情緒不安定になり感情失禁のような症状が出る
抗生剤の点滴投与
感情失禁(かんじょうしっきん、emotional incontinence)とは、情動の調節がうまくいかず過度に感情を表出してしまう情緒障害である。情動失禁ともいう。
出典:感情失禁 | 看護師の用語辞典 | 看護roo![カンゴルー] (kango-roo.com)
具体的には、些細な刺激で大喜びしたり激怒したり泣いたりするなど、感情が刺激とは不釣り合いに過度に出てしまう状態を指す
精神的に弱っている自覚はありましたが、パニック障害やら感情失禁とカルテに書かれて、そこまでじゃないと思っていたのでショックでした
11:20ー造影CT検査と胸部レントゲン撮影
苦手なCT検査を終えて気持ちも落ちついたので、帰りに院内にあるタリーズに寄ってもらい、ごほうびにとエスプレッソシェイクを買って戻りました
CT検査を予定より遅らせたうえに、帰りにカフェに寄れとか、看護師さんにも仕事があるのに迷惑ばかりかけていますね
16:45ー夫とともに、主治医から検査結果の説明を聞く
CT検査・胸部レントゲン結果
肺炎像はやや改善している程度
がんの原発巣、転移巣とも縮小し、化学療法は著効している
肺炎は改善傾向にありますが、まだ入院は継続しての治療が適当と思われます
がんの方はパージェタを追加することでさらに効果が見込めます
20日からパクリタキセル+ハーセプチン+パージェタの投与を考えています
こんなにしんどい思いをしているのに、まだ抗がん剤を続けないといけないの?しかもさらに薬を増やすとか言ってるし…
入院5日目
10:00ー抗生剤の点滴投与
15:40ー呼吸が落ちついてきたので、酸素流量を2Lに減らしてもらう
18:00ー主治医の許可で酸素カニューレを外す
22:00ーロビーの自動販売機まで一人で歩行
入院6日目ー退院
11:45ー抗生剤の点滴投与
13:00ー胸部レントゲン撮影→浸潤影変化なし
主治医に退院を強く訴え、しぶしぶだが許可をもらう
16:00ー退院
肺炎は全快ではなかったので、少し呼吸が苦しくなったりはしていましたが、病院にいると精神的な辛さが増して違う意味でしんどいので、退院を強行してしまいした
↓↓不調な症状は心と体からのサインです!あなたは大丈夫ですか?↓↓
パクリタキセル+ハーセプチン【体験談】副作用まとめ
化学療法の副作用のなかで一番苦しんだのは間質性肺炎でしたが、辛かったのは長期的に継続していた脱毛・ホットフラッシュ・味覚障害でした
髪があることがうれしくて、横だけ髪がのびた状態でもそのままにしていました
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ランマーク
ランマークとは
骨を壊す過程を亢進する作用をあらわす体内物質のRANKLを阻害し、多発性骨髄腫や固形がんの骨転移による骨病変の進行を抑えたり、骨巨細胞腫の病変部位における抗腫瘍作用などをあらわす薬
出典:ランマーク皮下注120mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典 (nikkeibp.co.jp)
・骨髄炎 ・ 白血球減少 ・ 血小板減少 ・ 頭痛・悪心
・しびれ、けいれん (低カルシウム血症)
・口の痛み、腫れ、あごのしびれ(顎骨壊死)
ランマークの体験談
2013.9.4
一回目の注射のあと歯ぐきから出血し腫れてしまい、他の化学療法を休薬することになったので、ランマークは中止にすることになりました
一回しかしなかったので、ほとんど記憶に残っていないです
初めての化学療法を終えて…自分なりに思うこと
私の乳がん闘病生活のなかで1番辛く精神的に弱っていたのが、このパクリタキセル+ハーセプチンの治療をしていた期間でした
治療を初めてすぐの頃は、朝起きてから洗濯と掃除をしたところで力尽きてしまい、昼食後は寝たきりに
1日のうち2~3時間しか起きていられない日がほとんどでした
痛みがなくなっても引きかえのように副作用がやってきて、どちらかといえば副作用の方が辛かったように思います
最初の3か月ぐらいはずっと家のなかで引きこもっていて、強迫性障害のような症状がありました
なぜか急に怖くなり、家の中を閉めきりにしたり、逆に閉めきった部屋が息苦しく感じて、今度は窓を全開にしたりを繰り返すこともありました
不安障害(不安神経症・強迫性障害)というのは、不安や恐怖の感情が、普段の状態とは異なって過剰に付きまとってしまい、日常生活に支障をきたしてしまうことです。過度のストレスや疲れなどをきっかけとして、感情のバランスが崩れてしまい、理由に不釣り合いな不安と恐怖が出つづけてきてしまうのです。
不安な気持ち、恐怖の気持ちが強くなるほど、気の持ちようと考えて自分を奮い立たせる人は多いのではないでしょうか。
もちろん、不安な気持ちも恐怖も生来備わった、自分を守るための能力。ですが、その能力も会社や家庭などのストレス影響下にさらされると心のバランスが崩れて、理由に不釣り合いな不安や恐怖が強く出続けてしまうのです。
出典:不安神経症・強迫性障害とは?(症状・治療法)|心療内科 ひだまりこころクリニック(不安障害) (hidamarikokoro.jp)
閉所恐怖症の加速もありました
緩和ケアやカウンセリングなど頼るものはあったのでしょうが、調べる気力もなかったので、ただただ抗がん剤の副作用と我慢していました
病院の患者会には行ったことがあります
最後に行ったときに、術後の抗がん剤(内服)を終えたばかりの患者さんが
「がんになって良かった。今まで気付かなかったいろんなことに感謝できるようになったから」
と笑っておっしゃられたので、もう二度と患者会に行かないと思いました
人それぞれ症状や治療方法、生活環境など違っていて、辛さの度合いは測れない
皆、辛いことはあるのだから、比べられるものではないと今なら思いますが
この時の私は、この方の言葉が受け入れられなかった
「がんになって良かった」と今から転移して、エンドレスケモになっても同じこと言えるのかなと、ひねくれた思考回路になっていたからです
精神的に弱っていった理由はエンドレスケモ(ケモは化学療法のこと)です
私は主治医から、ステージ4(遠隔転移)についてこう説明を受けました
原発巣から、がんが血液の流れに乗って他臓器に移動、転移している
だから血液を全て入れ替えないかぎり、がんは無くならない
それは不可能だから完治はない
ずっと化学療法をしなくてはいけない(=エンドレスケモ)と告げられました
それから出会ったすべての医師や看護師に聞きました
「どれくらい長くエンドレスケモを続けている人が居るか、知っている最長を教えてほしい」
患者会に行ったのも、これが聞きたかったからです
でも本当に私が知りたかったのはたぶん「抗がん剤の副作用に耐えながら長く生きられるか」だったと思います
聞いた人は誰ひとりハッキリと答えてはくれませんでしたが…
医療は日々進歩していて、常に新薬が開発され続けている
そして抗がん剤の効き目も持続期間も人それぞれ
だから、人の話を聞いてそれを自分に当てはめても仕方のないこと
だけれども、その時は何かすがれる希望が欲しかったのだと思います
長々と書いてしまいましたが、この時をピークに精神面も徐々に回復していきました
もし、この頃の私のように辛くて何かの希望を求めておられたら『医療の進歩を信じて、その時まで耐える』を希望にされてみるといいかもしれません
実際にかぁるは、このあとの治療で承認されたての新薬を3種類ほど使っています
そのなかの1つに相性の良い薬があったので、またその薬のこともご紹介しますね!
↓ 乳がんと診断されてからの経緯其の➂ ↓
パージェタ(HP療法)~カドサイラ【体験談】副作用まとめへ続く➡
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