私はホルモン療法を7種類ほど行いました
ホルモン療法を行うことになった経緯と体験談についてまとめました
どのような治療も個人差があるので、あくまでかぁるの場合の副作用として参考程度にとお読みください
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ホルモン療法とは
サブタイプがルミナルタイプの乳がんの治療法です
↓サブタイプの詳しい説明は↓
PET-CT検査とサブタイプ分類についてー治療方針の決定➡
ホルモン感受性乳がん(ルミナルタイプ)
乳がんには、女性ホルモン(エストロゲン)を取り込んで分裂・増殖するタイプ(ホルモン感受性乳がん)があり、60~70%の方が該当します
このタイプの乳がんはエストロゲンが、がん細胞の中にあるエストロゲン受容体と結びつき、がん細胞が増殖します
ホルモン感受性乳がんの細胞にはエストロゲン受容体(エストロゲンレセプター:ER)が発現しています=ER陽性
ホルモン療法の有効性が期待できるかどうかは、がん細胞の中にあるエストロゲン受容体(エストロゲンレセプター:ER)の量を調べることでわかります
ホルモン療法とはどのような治療法?
閉経前と閉経後ではエストロゲン産生経路が異なるため、薬はそれぞれに合わせて使い分けられます
がん細胞に直接攻撃する抗がん剤と比べて、その作用は穏やかで、副作用が現れにくいのが特徴です
抗エストロゲン剤
エストロゲンとその受容体の結合を阻害します
毎日1回、5~10年間服用します
横に動かせます⇒
薬剤名 | タモキシフェン | トレミフェン | フルベストラント |
製品名 | ノルバデックス | フェアストン | フェソロデックス |
投与方法 | 内服 | 内服 | 筋肉注射 |
適応 | どちらとも | 閉経後 | 閉経後 |
主な副作用 | 無月経 月経異常 悪心・嘔吐など | 食欲不振・吐き気 視覚障害 発疹・かゆみなど | 注射部位の疼痛・硬結・かゆみ ほてりなど |
エストロゲン産生抑制剤
LH-RHアゴニスト製剤
卵巣でエストロゲンの産生を抑制します
投与中は月経が止まりますが、投与をやめると卵巣機能が回復して月経が戻る特徴があります
月に1度と3カ月に1度のタイプがあります
横に動かせます⇒
薬剤名 | ゴセレリン | リュープロレリン |
製品名 | ゾラデックス | リュープリン |
投与方法 | 皮下注射 | 皮下注射 |
適応 | 閉経前 | 閉経前 |
主な副作用 | 熱感(熱がある感じ) ほてり のぼせ 頭痛 吐き気・嘔吐など | 熱感(熱がある感じ) ほてり のぼせ 頭痛 吐き気・嘔吐など |
アロマターゼ阻害剤
アンドロゲン(男性ホルモン)をエストロゲン(女性ホルモン)に変換するアロマテーゼを阻害します
横に動かせます⇒
薬剤名 | アナストロゾール | レトロゾール | エキセメスタン |
製品名 | アリミデックス | フェマーラ | アロマシン |
投与方法 | 内服 | 内服 | 内服 |
適応 | 閉経後 | 閉経後 | 閉経後 |
主な副作用 | ほてり 頭痛 関節痛 悪心 発疹など | ほてり 頭痛 関節痛 悪心 発疹など | ほてり 頭痛 関節痛 悪心 発疹など |
黄体ホルモン(プロゲステロン製剤)
間接的にエストロゲンの働きを抑制します
ほかのホルモン剤が無効のときに使用します
横に動かせます⇒
薬剤名 | メドロキシプロゲステロン酢酸エステル |
製品名 | ヒスロンH |
投与方法 | 内服 |
適応 | どちらとも |
主な副作用 | 体重増加 浮腫 血栓症など |
その他
TS-1(ティーエスワン)
TS-1はいろいろながんの治療に使用されていますが、乳がんでは「手術不能又は再発乳がん」に適応します
(※2022年2月にはER陽性HER2陰性乳がんに対する術後補助療法の適応追加申請が行われています)
TS-1は経口抗がん剤で、がんを治療する効果を高め、副作用を少なくするために3つの成分が配合されています
- テガフール→がん細胞を攻撃します
- ギメラシル→分解を抑えて効果を持続させます
- オテラシルカリウム→消化器系の副作用を減らし、症状を軽くする働きをします
・吐き気
・食欲不振
・口内炎
・発疹
・下痢
・色素沈着
・流涙(涙が出る)
イブランス(パルボシクリブ)
イブランスは、「進行・再発乳がん」に適応を持つ薬剤で、特異的にがん細胞が増殖するのを制御する経口分子標的薬です
ホルモン療法薬と併用することで治療効果が認められています
・倦怠感
・脱毛
・悪心
・口内炎
・下痢
・流涙(涙が出る)
かぁるはイブランスカプセル発売の年にホルモン療法を行っていたので、ここでもまた新薬を使うことになりました
これが3種類目ですね!
ホルモン療法【体験談】まとめ
2016.12.8~2018.7.18の約1年7ヶ月間、ホルモン療法を行いました
このブログの乳がんカテゴリーの記事を一から読んでいただけていたら、私がホルモン療法を体験していることを不思議に思われているのではないでしょうか
初診時にHER2タイプと診断されたかぁるが、ホルモン療法をすることになった経緯を記載しておきますね
HER2タイプ(サブタイプ)の詳しい説明は→こちら
ホルモン療法に変更になった経緯
2014年10月からカドサイラを使用した化学療法を行っていました
その間、3か月毎に行っていたCT検査は原発巣、転移巣ともに縮小傾向にあるという診断がされていました
そして懲りずにまた減薬…どころか…
化学療法を休みたいです
2016.5.18 薬物療法中止しました
その間も3か月ごとのCT検査は行っていました
そして半年後の2016.11.30のCT検査で再燃(右乳房の腫瘍に増大傾向が見られるとの所見)
当院では一度も生検(病理組織検査)を行っていないので、治療再開前に検査しましょう
最初にかかった近所の総合病院で生検をし、そのデータを送ってもらいました
この病院に紹介されてきたのは検査から1週間後です
再度、生検を行うように言われましたが、痛いのに何回もしたくないと拒否したので、この病院では生検をしていないのです
再燃部位からの針生検の結果
ルミナルタイプHER2陰性
Sci ER:5+2=7,PgR:5+3=8,HER2:0,MIB-1:25%
↑針生検(病理組織検査)の見方・詳しい説明は→こちら
異時性多発が疑われます
多発或いは多病巣(Multifocal):同一臓器内に複数の同一組織型の腫瘍が、互いに独立して存在する場合をいう
異時性(Metachronous):複数の腫瘍あるいは病変で、初発腫瘍と後発腫瘍の間隔が 2 ヶ月を超える場合を意味する
出典:多重がんの定義 (jacr.info)
異時性両側乳がん(初発の胸とは反対側にあとから新たな原発巣が出現する乳がん)は聞いたことがあるけど、同じ胸に違うタイプが2種類とかのパターンもあるのね…
【体験談】使用した薬
私が行ったホルモン療法のです
TS-1以外は効果がなく、腫瘍は増大していきました
副作用まとめ
ありがたいことに私はホルモン療法では、ほぼ副作用はありませんでした
ホトフラ(抗がん剤使用時からずっと継続)と、TS-1の爪の色素沈着ぐらいでした
知人から肌荒れを指摘されたことはありましたが、発疹やかゆみはなかったです
かぁるのTwitterのフォロワーさんの、ホルモン療法の副作用についてのツィートをご紹介します
人によって副作用は様々ですが、辛い思いをしながらの治療を継続するのは…
本当に、本当に、大変なことです!
生き抜くという強い思いを感じます
更年期障害とホットフラッシュ
閉経に向けての体の変化に対応できずに不調が起き、その症状が重く日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」と言います
【引用画像】
出典:更年期・更年期障害とは?|命の母A|小林製薬 (kobayashi.co.jp)
エストロゲンの分泌をコントロールするのは脳の視床下部にある下垂体と呼ばれる部分ですが、45歳を過ぎるころから、いくら下垂体が「分泌」の指令を出しても、卵巣機能の衰えによってエストロゲンは出にくくなります。
《中略》
視床下部は、からだの様々な機能を調整する自律神経もコントロールしているため、この混乱が自律神経にも伝わり、のぼせや冷えなど様々な不調が起きてしまうのです。
更年期障害の原因
更年期障害の主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)の減少ですが、加齢や性格、ストレスなども発症の原因と考えられています
更年期にさまざまな症状が現れる最大の原因は、女性ホルモンの減少とゆらぎです。それに加えて、なりやすい性格や環境のストレスも影響します。
出典:【特集】女性の更年期障害 3つの原因とそれぞれの症状・治療法まとめ | NHK健康チャンネル
・なりやすい性格
真面目で頑張り屋、神経質、完璧主義といった性格の人と言われています。
・環境のストレス
仕事や子育て、子どもの巣立ち、介護など環境のストレスが大きいと、更年期の症状が重くなることが知られています。
ホルモン療法のLH-RHアゴニスト製剤(ゾラデックス・リュープリン)は卵巣でエストロゲンの産生を抑制します
投与中は月経が止まりますので、更年期障害と似た症状の副作用が発現することがあります
ホットフラッシュ対策
更年期障害の症状は様々なものがありますが、とくにホットフラッシュは乳がん患者のほとんどが経験していますよね
ホットフラッシュの対処法としては、外出する際に保冷剤をハンカチに包んだものを持ち歩き、ホットフラッシュの症状が出た時には首筋を冷やすこともおすすめです。
出典:【医師が解説】ホットフラッシュの対策方法。冬なのに人前で急な汗、ホルモンバランスの正しい改善方法は? | torothy(トロシー)
私が対策として使っていたのが、クール系のスプレーやジェルです
現在も使っているとくにおすすめの2品を紹介します♪
抗がん剤治療中のときのホトフラによる汗は、普段の汗と臭いが違って感じて、私にとっては嫌な臭いだったから、いいにおいのするものばかり使ってたなぁ~
日に何度もやってくるホトフラ対策に、いろんなクール系のスプレーやジェルを試しました
あまりクール成分が強すぎると汗が引いた時の寒さが辛いので、冬でも使えるぐらい肌に優しいものを選ばれることをおすすめします!
最近はホルモン療法の副作用に、漢方を処方する医師が増えているそう!
漢方外来も増えていますよね
漢方薬がホルモン療法の副作用に有効であったとする報告をしています。
出典:ホットフラッシュ、関節痛、倦怠感を抑えられるか?古くて新しい薬 ホルモン療法のつらい副作用を漢方で乗り切る | がんサポート 株式会社QLife (gansupport.jp)
《中略》
09年4月から12年1月までに千葉県がんセンターの漢方外来を受診した乳がんの患者さんで、ホルモン療法を受けてホットフラッシュ、難治性関節痛、倦怠感などの症状を訴えた13例について、漢方治療を行った結果が明らかになっています
ホルモン療法に変更して…自分なりに思うこと
ホルモン療法に変更になると聞いたときは、正直嬉しかったです
抗がん剤はもうしたくなかった、今でもしたくない
けれども、ホルモン療法は全く効果なく…
このあと右胸の全摘手術を行ったのですが、摘出後の病理組織検査では初診と同じHER2タイプだったのです
主治医の説明は…
2つのタイプが混在している場合もある
ホルモン療法は全滅だったのに無理あるよね…
検査ミスじゃないの?
この時に抱いた不信感を今でもずっと持っています
↓ かぁるの闘病体験記【最終回】→ 乳がんと診断されてからの経緯ー其の⑤↓
乳がんの手術【体験談】乳房切除術についてへ続く➡
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